ハイタカとオオタカの飛翔時の識別
・識別点
大きさ・・オオタカの方が一回り大きいというのが一般的なんですが、オオタカの最小個体とハイタカの最大個体では大きさが逆転することがあるので注意が必要です。
体型・・・ハイタカの方がスリムで、尾羽が長く、胴回りもすっきりして見えます。またハイタカ♀は翼後縁部分もオオタカ♂に比べて膨らんでいる個体が多く、翼全体が長く見えます。
模様・・オオタカ成鳥の体下面横斑は褐色味が少なく、細かく見えることから明るいと体下面全体が白っぽく見えることが多いです。また、上面の黒色味が強いため、羽ばたいた時のコントラストが強く、上面と下面の色が違うという印象を強く受けます。しかし、亜成鳥の体下面の横斑はハイタカのように褐色味が強い個体もいるので注意が必要です。ハイタカ♀成鳥の体下面はあまり白っぽいという印象を受けず、また上面の色もオオタカほど黒色味が無いため、コントラストが強いという印象はあまり受けないと思います。オオタカ幼鳥は体下面も褐色で斑は縦斑なので識別できます。
羽ばたき・・オオタカの羽ばたきはハイタカに比べ力強く、深くまで羽ばたくくせに進行速度が遅いように感じます。また羽ばたくときの翼の形も微妙に違うような気がします。ハイタカの羽ばたきはオオタカに比べ浅く、オオタカの羽ばたきがバタバタだとするとハイタカはパタパタといった印象を受けます。しかしハイタカの中にもオオタカのような羽ばたきで飛ぶ個体もしばしばいるので、羽ばたきだけで見分けるのには注意が必要です。しかも、僕が見る限り、渡りを行う時と普段獲物を狙っているときでは微妙に羽ばたきが違うような気もします。識別をする際は、羽ばたき以外の特徴もよく見た方がいいと思われます。

(@写真左)ハイタカ♀成鳥,(A写真右)オオタカ幼鳥
@は羽ばたきと大きさから初めオオタカに見えましたが、尾羽と翼が長く、頭が体の割りに小さく見えることからハイタカ♀であると識別しました。またAのオオタカ幼鳥は、割とハイタカっぽい印象を受けますが、@のハイタカに比べて体に対する頭の比が大きく、尾羽も短く見えることからオオタカだと識別できます。@個体のように大きさがオオタカほどになるハイタカ♀もいるので尾羽などの特徴を見たうえで結論を出した方がいいように思います。

(左、中央)ハイタカ♀成鳥 2001年2月 北海道北広島市,(右)オオタカ♀成鳥 2002年10月 北海道室蘭市
写真左、中央のハイタカは大きさがハシボソガラスよりやや大きく飛び方や色合いはとてもオオタカにいていました。しかし尾羽と翼が長く、右のオオタカに比べてほっそりした印象を受けます。右のオオタカは♀ということもありますが、ハイタカに比べ体が太く、頭もハイタカに比べ大きく見え、翼もがっしりとしてます。顔のパターンは両者似ているので、注意が必要です。

ハイタカ♀成鳥 02年北海道室蘭市
写真で見る限り非常に微妙な個体で、この写真1枚の見方によってはオオタカ♂にも見えます。しかしオオタカにしては体の割りに頭が小さく、胴体がほっそり見える点や、翼後縁のふくらみがオオタカ♂とは考えにくい点などから、この個体はハイタカ♀であると考えられます。尾羽は黒帯が3本しか見えないので擦り切れているものと思われ、そのために短くなってオオタカっぽい印象を与えたものと思われます
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