オオタカ Goshawk
・幼鳥
幼鳥は成鳥に比べて全体に褐色味が強く、下面の模様が縦斑であることが特徴です。翼の形も幼鳥のほうがハイタカっぽく見えて、成鳥よりは長めに感じることがしばしばあります。尾羽は中央がややふくらみ、それも特徴の一つです。渡り始めは成鳥より早めにはじめる傾向があるような気がします。猛禽類は♂より♀の方が大きい傾向があり、オオタカも例外ではありません。♂はハシボソガラスくらいで、頭が小さく尾羽がやや長く見えます。♀はハシブトガラスくらいで、お腹が出ていて、顔が丸く、尾羽はやや短めに見えます。これは成鳥も幼鳥も同じです。
写真
2002年 10月 北海道岩見沢市
上面、下面ともに褐色味が強く、眉斑は成鳥に比べて汚れて見えます。顔の回りには顔盤が見られ、虹彩はやや淡色がかった黄色をしています。
下面の模様は縦斑で、尾羽には数本の黒線が入っています。
2002年 11月 北海道室蘭市 @ 横から
2002年 11月 北海道室蘭市 A 体下面
2002年 11月 北海道室蘭市 B 上面
@〜Bまでは同一個体。恐らく♂。
下面はやや白っぽく、縦斑は明瞭ですが、長くはありません。尾羽の先端は丸くなっていて、これが幼鳥の特徴です。
上面は黒味が強く見えていますが、これは光の状態で結構変わって見えるので亜成鳥と区別するときは注意が必要です。雨覆いは淡色であまりととのって見えないという印象を受けました。尾羽には数本の黒帯があります。
2001年 9月 北海道室蘭市 体下面
幼鳥の体下面はこんな感じになっています。翼の先は6枚に分かれていて、尾羽には明瞭な黒帯が4本見えます。この個体は喉にやや不明瞭な線が見えますが、これはサシバやツミだけではなく、オオタカやハイタカにもたまに見られるときがあるので注意が必要です。この場合、翼先端の初列風切の分離枚数や翼の形、その他全体の特徴を見比べて判断してみると識別できるものと思われます。
翼下面には細い横斑(タカ斑)が多く見え、雨覆いにもより細かい斑があるのが見えます。体下面は見づらいですが、縦斑です。
・成鳥
成鳥は体下面が白く、細かい横斑が密にあります(幼鳥は縦斑)。また上面は黒褐色で体下面は白いので羽ばたいた時にコントラストが強く見えます。翼下面は幼鳥と同じように鷹斑がありますが、(下面全体が)年をとればとるほど斑が少なくなって白っぽくなります。顔は仮面をかぶったような感じで、白と黒がはっきりしています。虹彩の色は♀の多くと♂の一部が黄色で、♂の多くがオレンジがかった黄色、また♂の一部にはツミのように真赤になる個体もいます。類似種のハイタカは翼後縁部のふくらみ具合や尾羽の長さなどから識別できますが(ハイタカ♀の方が翼の後縁が広く尾羽も長い)、ハイタカ♀の大型個体とオオタカ♂の最小個体では大きさが逆転することもあるので注意が必要です。
写真
♂ 2000年6月 北海道 @
♂ 2000年4月 北海道 A
♂ 2002年4月 北海道 B
♀ 2000年4月 北海道 C
上の成鳥のうち、@〜Bまでが、虹彩の色(真赤)と繁殖場所などから同一個体の♂と思われます。またCはAとのつがいの♀です。♀のほうが体下面の横斑が大きく荒くに見えます。また虹彩の色(ここでは見えない)も黄色でした。上面の色もやや褐色がかっています。
♀ 2000年1月 北海道北広島市
♀成鳥(老鳥) 1999年12月 北海道北広島市
上4個体は同一個体と思われます。一見、シロハヤブサにも見えるこの個体はよっぽど年をとっているのか、体下面の横斑と翼下面の鷹斑模様がほとんどありません。しかし上面はほぼ黒色に近く、羽ばたいたときのコントラストがとても印象的でした。ここではたまに♂成鳥も見ることができ、その♂も虹彩が赤っぽいことから、こちらもかなり年をとっていると思われます。
上が♂です。生息環境から、上の♀とつがいだと思われます。この個体もかなり白っぽくなっていますが、近くで見てみると体下面には横斑があり、翼にも少し鷹斑がありました。頭が小さく見え、尾羽がやや長く見えることから♂だと見分けられます。一般的に♂の個体はあまり、カモをハンティングしないと言われてますが、この場所では毎年冬になると、コガモをハンティングする姿を見ることができ、多いときには♂、♀、幼鳥の3個体同時に確認できたこともありました。
♂ 2001年 12月 北海道北広島市
♂ 2002年11月 北海道室蘭市 @
♂ 2002年11月 北海道室蘭市 A
♀ 2002年10月 北海道室蘭市 B
@とAは同一個体です。この個体は、虹彩がオレンジ色で、尾羽が長く見え、眉斑が細いことから、♂と思われます。11月になると岬から渡っていくオオタカの半分以上が成鳥で幼鳥はごくわずかでした。(02年は)
Bの個体は眉斑が大きく、上面の褐色味が強く、尾羽もやや短いことから♀と思われます。また♀は虹彩の色も黄色い個体が多いように感じます。
@〜Bの体下面は横斑が密で幼鳥とは違います。
♀ 1999年12月 北海道北広島市
♀ 1999年12月 北海道北広島市
♀成鳥 2003年1月 北海道北広島市
コガモをハンティングしにこちらに飛んできた♀恐らくいつもいる個体。虹彩がオレンジ色に見えるのは夕日が反射しているためです。体下面と翼の裏が一応に白いことからいつもいる個体と推測されます。