アイスランドカモメ L.g.kumlieni
荒れていたためか、昨年末に厚真川河口で見られたアイスランドカモメと同一個体を今回は鵡川漁港で観察することができた。
アイスランドカモメ(kumlieni)の暗色個体は、形態的にほとんど変わらないカナダカモメの最淡色の個体との識別が難しいと思う。この個体は初列風切のグレーがかった黒色部が両翼共に5枚で、これはkumlieniと淡色の一部のカナダカモメ(kumlieniにより近い個体というか中間的な個体)ともに当てはまるが、この個体の場合は初列風切の白色部がより多い(黒色部が明らかに少ない)、黒色部がより淡く見えるといった点はkumlieniの範疇だと思われる。

初列風切の裏がほぼ白い。初列風切上面も灰色がかり、中央に細い白線が通っているように見える。形態はカナダカモメやアイスランドカモメのもので、嘴は隣のオオセグロカモメと比べてもかなり細いことがわかる。嘴の長さはアイスランドカモメとしてはやや長めな印象。


初列風切の灰色がかった黒色部は5枚で裏から見るとほとんど目立たない。表から見てもP10の先端部は幅広く白く、P9も白色部が目立ち、P6の斑も分離するほど淡く小さい。


この写真では初列風切の白斑がかなり大きく目立っていて、明らかにkumlieniらしく見える。

ところでこの個体は04年春季に苫小牧で観察したこの個体ともしかしたら同一の可能性もあるかも知れない。ということで比較を↓。

それぞれの特徴を含めてそれなりに似ているといえばそんな気もするが、やっぱり年齢が進みすぎていて難しいかもしれない…。
以下の個体は12/20に銚子市で観察された淡色のカナダカモメ(kumlieniとの中間個体?)


この個体も初列風切の黒色部は5枚で、今回の個体とよく似ているが、黒色部は今回の個体より黒みがあり、白色部も小さめ(だが、カナダカモメとしては大きめ)。
とりあえず様々な外見上の特徴からこの個体はアイスランドカモメの範疇だろうと判断したが、やはりカナダカモメの淡色個体とも良く似ており、個体によって識別はかなり難しい。 |